寺嶋由芙|「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)

寺嶋由芙|「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)

多方面でその才能を発揮するがゆえに、この肩書きはどちらかといえば目立ちにくいかもしれないが、寺嶋由芙は紛うことなき“楽曲派アイドル”である。

TV番組やイベントなどのMC、ゆるキャラの総元締め、SNSを駆使したインフルエンサー、アイドル界のご意見番、キャッチフレーズで謳っているとおりの「まじめなアイドル」、といった様々な顔を持つがゆえに、そして、そのレパートリーには音頭や演歌といった“変化球”も織り交ぜられているゆえに、そこに焦点が当たることは相対的に少ないのかもしれないが、次々と優れた楽曲を歌ってきたことは紛れもない事実だ。

真部脩一作曲「101回目のファーストキス」、ヤマモトショウ作曲「ぜんぜん」、宮野弦士作曲「天使のテレパシー」、望月ヒカリ作曲「私を旅行につれてって」、藤田卓也作曲「知らない誰かに抱かれてもいい」、芹沢和則作曲「世界で一番かわいい君へ」、rionos作曲「背中のキッス」、西寺郷太作曲「君にトロピタイナ」などなど…。多方面で活躍する気鋭の作曲家たちが素晴らしい楽曲を次々と寺嶋由芙に提供しているのだ。

そして、もう一つ言っておきたいのが、寺嶋由芙は優れたシンガーであるということだ。

決して「声量で圧倒する」「激しい抑揚で揺さぶる」「溢れる情感でねじ伏せる」といった分かりやすい特性があるわけではないが、なかなか味わい深いシンガーであることは間違いない。感性・知性・経験を駆使しながら詞の世界を咀嚼し、その柔らかな歌声に乗せながら、感情の機微を細密に描き出していくのだ。

その技巧はここへ来てますます冴え渡っている。昨年10月リリースの前シングル「君にトロピタイナ」では、エキゾティックな妖艶さと覚醒感溢れるビートの上で、敢えて抑制された歌声で語りかけることにより、一層聴き手の耳を引きつける。また、昨年行われた5周年ライブでは、ギミックを一切排し、楽曲と歌とパフォーマンスのみで持ち歌全50曲を披露する、という極めて“音楽的な”ショウを繰り広げ、“楽曲派アイドル”そして“シンガー”寺嶋由芙の姿をまざまざと見せつけた。

そして、このニューシングル「いい女をよろしく」。寺嶋由芙のさらなる音楽的進化を堪能できる作品となった。庄司裕作曲、ハロプロ楽曲を数多く手掛ける児玉雨子作詞、rionos編曲による表題曲は、「古き良きディスコ/ファンクへとオマージュするハロプロ楽曲」へのオマージュという”メタなオマージュ”というべきもの。ハロプロを彷彿とさせる様々な“クセ球”を随所に織り交ぜることで、持ち前の柔らかな声に滑らかなグルーヴを生じさせている。そして、kiki vivi lillyが作詞作曲編曲したカップリング「Last Cinderella」は、寺嶋由芙の歌声と語り口を最大限に生かすナンバー。ここでの彼女は、揺れ動きながら法悦へと上り詰める感情の揺らぎを、ウィスパーやファルセットも交えながら見事に描き切っている。

そんな寺嶋由芙にお話を伺った。

“おもしろ要素”をたくさん入れました

――ニューシングル「いい女をよろしく」。これは“5周年記念シングル”とのことですが…。

寺嶋:そうですね。

――昨年の10月に“5周年ライブ”がありましたよね…?

寺嶋:2018年10月のライブは「2013年10月に初めて私がソロライブをしてから5年」ということでの“5周年ライブ”。そこから5周年イヤーが始まっていまして…。2014年2月に「ゆーふらいと」という曲でデビューしたので、2019年2月がソロシングルリリースから丸5年。その中でリリースする“5周年記念シングル”ということですね。

――なるほど。2年に渡って行われるわけですね。

寺嶋:はい。この1年間はずっと。

――で、ちょっと戻りますと、5周年記念ライブ。あれには驚きました。寺嶋さんの音楽的側面を目の当たりにしたといいますか、“シンガー寺嶋由芙”がくっきりと浮き彫りになった感がありました。でも、あそこでちょっと総括しちゃった感じも…。

寺嶋:そうなんですよね。そこでちょっと燃え尽きちゃったような感もあり…。あの後2日ぐらい動けなかったんですよ。ずっと家にいました。体もバキバキで疲れ切っちゃって。

――大変だったんですね。

寺嶋:いつもだと一日で回復するところが二日かかったので「年かな」とか思いました(笑)。あの日は持ち歌全曲、“ふぇのたす”とのコラボ曲なども含め、メドレーなども交えて全50曲を歌う、っていうのを一人でやったんですが、そこでオタクも一度節目を感じちゃったと思うんですよ。でも、“卒業ライブ”ではないので、その後も「次の5年をどう見据えなきゃいけないか」を考えていかなくちゃいけないわけで…。

――そうですよね。でも、あのライブでは音楽的にいろんな玉を投げてくるなっていうのを改めて感じたんですが、今回のシングルもまたすごいですよね。攻めてますよね。

寺嶋:そうなんですよ。笑っちゃいました。最初仮歌を聴いた時に。もう面白くて。

――ハロプロ好きの寺嶋さんの想いが込められてる、とお聞きしたんですが…。

寺嶋:そうなんです。“5周年で10枚目”という記念のタイミングなので、原点回帰というか初心に戻るっていう意味で、自分が一番好きな、一番憧れてた“あの時代のハロー!プロジェクト”というものを一度やってみよう、ということです。

――ハロプロだとどの辺りから聴き始めたんですか?

寺嶋:安倍なつみさんが一番好きだったんです。初めて聴いたのが確か「サマーナイトタウン」で、その頃から何となく追っかけはじめて…。

――それは小学生の頃ですか?

寺嶋:たぶん小学校3年生とか。「LOVEマシーン」が小学校3年生ぐらいだったので、もっと小さかったかな。もう絶対モーニング娘。になろうと思って、コンサートとかにも連れてってもらって…。そこで初めて“オタク”というものを見たわけですよ。私、モーニング娘。を好きなのは、私みたいにあのお姉さんたちに憧れる女の子だろうと思っていたので、初めてコンサート会場、埼玉スーパーアリーナか横浜アリーナだったと思うんですが、に行った時に男の人が多くてびっくりしたのを憶えてます。「おじさんもいる」みたいな(笑)。女の子ばっかりだと思ってたんですよ。そういうのも知らずに、ただテレビの中のモーニング娘。に憧れて、振り付けを真似して…。学校でもすごい流行ってたので、音楽の授業の時間にモーニング娘。のダンスをみんなで踊ったり…。そういうのがあったりして、日常の中にモーニング娘。の曲やダンスやグッズがありました。ブロマイドもすごい集めてたんですよ。

――ハロプロショップとかに行ってですか?

寺嶋:ハロショは原宿に一度連れてってもらったかな…。千葉の小学生だったんですけど、原宿のハロショに連れていってもらって。あと、渋谷か。地下にあったのって渋谷でしたっけ?ご存知ないですよね…。

――あ、109ですか?

寺嶋:あ、109の地下にあった。そうなんですよ。そこに連れてってもらった記憶があります。

――ミニモ二。とかにも夢中になってたんじゃないですか?

寺嶋:ミニモ二。も大好きでした。小学生で毎日早起きして『おはスタ』観るとミニモ二。が出てて、PVが観れるので、それ観て毎日練習してましたね。「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」とか。

――ミニモニ。がきっかけでアイドルにハマって、今の活動に繋がっている人って多いですよね。

寺嶋:多いですよね。だから多分、私の世代にアイドルが多いんだと思います。91年前後に生まれの…。

――僕は「真夏の光線」が大好きなんですよ。

寺嶋:あの車運転するPVですね。

――そうです。で、「LOVEマシーン」とかあの辺りってちょっと苦手だったんですよ。改めて聴くとすごくいいんですけどね。

寺嶋:あ、分かります。それまでの「真夏の光線」とか「抱いてHORD ON ME!」みたいな“いい曲”路線から変わって、「どうしてこうなった」感がちょっとありましたよね。

――ちょっと大衆路線に行ったじゃないですか。僕はつんく♂さんが自分のルーツを色濃く出した時のカッコいい曲っていうのがすごく好きなんですよね。あと、「みかん」とかも大好きで。

寺嶋:「みかん」超好きです!「みかん」最高です!

――ですよね。そういう意味では、ハロプロにもいろんな音楽要素がありますが、「ハロプロへの想いを込める」って言った時に、どの辺りを参照したとか、どういう形にしようとか、ありましたか?

寺嶋:「LOVEマシーン」の頃のみんなでワイワイ騒ぐモーニング娘。っていうのがまず一つありました。当時の映像を改めて観ながら、いろいろと入れ込んでもらいました。“謎の合いの手”とか、つんく♂さんが入れてたような男性ボイスとか、あと、石川梨華ちゃんがやってた「Ah~n」みたいなやつを私がやったりとか、そういう“おもしろ要素”をたくさん入れました。

――そうなんですね。「いい女をよろしく」の方は、“70~80年代ぐらいのファンク/ディスコをオマージュしてるつんく♂さん”的な感じがして、すごくハロプロっぽいですし、合いの手があったりコミカルな要素があったりとか、それこそ「めちゃめちゃめちゃめちゃ」っていうところなど「恋愛レボリューション21」っぽいです。

寺嶋:あと「Wow Wow」の部分は振り付けも「恋愛レボリューション21」をオマージュしてもらっていて…。竹中夏海先生に付けていただいたんですが「メンバーと一緒にいるかのように踊ってね」と言われました。「グループアイドルとして踊ってるように」と。実際左右のメンバーを見渡す振り付けとかが付いていて。実際には誰もいないんですけど(笑)。あと「マイクを持ち替える時に人格を変えてください」とも言われました。右手で右から歌ってる時と、左手に持ち替えた時とで別の人に入れ替わってるかのように。アイドルグループだとよくある、背中合わせで後ろで待っていて、次の子がくるんって前に出てくる、みたいな。あれを1人でやるっていう振り付けなんです。

――いわば“ひとりモーニング娘。”をやってるわけですね。

寺嶋:そうなんです。全員分やってるんです。

――竹中さんはマイクの持ち方に非常にこだわりがある方ですもんね。

寺嶋:すごくこだわりのある方ですよね。

今までで一番リアルな心情を歌ってる曲かもしれないですね

――新曲「いい女をよろしく」ですが、作曲は新人作家の庄司裕さん。編曲は「背中のキッス」などを手掛けたrionosさん。そして作詞は児玉雨子さん。この詞がもうパンチラインの連続というか。

寺嶋:すごいですよね。切り取りたいところがいっぱいあります。

――ですよね。ちょっといろいろお訊きしたいんですが、まずは「いい女をよろしく」っていうタイトル。これは誰が誰に「よろしく」なんですか?

寺嶋:「いい女のゆっふぃーを世間の皆さんどうぞよろしくね」っていう気持ちでやってます。

――「世間に向かって」という感じなんですね。

寺嶋:そうですね。おそらくこの主人公には、仕事があって、もしかしたら彼氏もいて、という状況だと思うんですが、その子もきっと「いい女の私を私の彼氏さんよろしくね」っていうよりは、会社の人だったり、もっと世間の人々に対して、「こういう社会の中で頑張ってるいい女がいることをよろしくどうぞ」って主張している…そんなイメージですね。

――なるほど。「世間に向かって」という場合でも、裏にはこういういろんな苦労があるけど、それも含めて頑張ってる自分自身をよろしくとも捉えらえれば、きっとみんなそうなので「そういう人と付き合う人はこういう苦労があるんだよ、よろしく」とも捉えられるじゃないですか。

寺嶋:そうですね。頑張っているいい女たちの代弁者と言ってもいいかもしれません。

――“いい女”である自分自身のことでもあるけど、そういう“同士”たちのことも歌っている、と。

寺嶋:そういう仲間たちへのエールみたいな部分もあるのかなって思います。

――なるほどね。で、この詞がぶっ飛んでいますよね。ちょっとよく分からない部分もあるんですが…。でも、こういう詞を歌うのってどうですか?ある意味“覚悟”がいるようにも思うんですが。なんていうか、ちょっと振り切って、やり切らないといけないというか…。

寺嶋:そうなんですよ。今まではもう少しストーリー性があって物語っぽい感じの歌詞をいただくことが多かったんですが、でも、私がすごく好きなモーニング娘。さんのノリノリのダンスナンバーってちょっとぶっ飛んだ詞の曲が多いですし、℃-uteさんとかでも「Danceでバコーン!」って言われたって何のことか分からないじゃないですか。でもすごい楽しいみたいな(笑)。

――「帰りにうどん食べてく」んですよね。

寺嶋:そうなんです。うどん食べちゃいますよね、℃-uteのライブの後は。だから、私のオタクはみんな今、この曲を聴いて“お寿司”を食べてくれてるみたいで(笑)。嬉しいんですよ。この新曲は、そういうノリ重視でおもしろい言葉がポンポン入ってくるかと思いきや、ちょっとドキッとするような刺さるフレーズも入ってるみたいな。それって、当時の好きなアイドルさんたちの曲の特徴をすごく捉えてくれているので、歌詞も含めてオマージュできてるんじゃないかなと思います。

――そうですよね。オマージュっていう部分もすごく感じますし、その一歩先を進んでるような感じさえします。で、随所にいい女の描写というか、いい女の“苦悩”の描写というか、そういうのがありますよね。「ほっといても君ならば大丈夫」っていうか…。

寺嶋:そうなんですよ。

――寺嶋さんもそうですか?

寺嶋:寺嶋さんそうなんです…。最初にその話を児玉さんとしましたね。割とほっといても大丈夫と思われがちです、って…。やっぱりアイドルって、刹那的なので、今観ておかなきゃみたいな、今観ないとこのメンバーでのライブはもうないかもしれないみたいな、そういうある意味ヒリヒリするような刹那感があると思うんですよ。そういうのがあると人を惹きつける吸引力が上がると思うんですが、私にはそれがないので…。辞めなさそうだし、いつも元気だしみたいな。実際元気なので(笑)。そういうヒリヒリした感覚で人を惹きつけることができないんですよね。そういうのもあって、「由芙ちゃんはいつでも行けるからちょっとこっちの新人ちゃんを観に行こう」みたいになりがち、ほっておかれがちなんです…っていうのを児玉さんと話しました。あと、「結構私いい女だと思うんですけど、あんまり誰にも気付かれないんですよね」みたいな話をしたら、こういう歌詞になりました(笑)。

――そもそもは、寺嶋さんが「私いい女だけどそう思われない」というところからできた詞なんですね。

寺嶋:そういう悩み相談をしたら…。

――まさに「いい女をよろしく」という感じですね。

寺嶋:そうなんです。だからそういう意味でも「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)。

――今回、寺嶋さんの“いい女観”といいますか、“理想”のようなものが描かれているのかと思いきや、むしろ“リアリティ”だったりするんですか?

寺嶋:そうですね。割とリアルに毎晩化粧を落とすことは心掛けたりしていますし…。一番は共感するのは2サビの「あなたの前じゃあんまり泣かない/もっと嬉しい話をしよう」。これこそが活動する上ですごく大事なことだと思います。いいアイドルであるために必要って思っていたことが歌詞になっていたので、びっくりしました。

――前回の取材時も、そういったアイドルの苦悩とか不満はファンの皆さんに話すものではない、とおっしゃっていました。

寺嶋:そうです。オタクに言ってもしょうがないと思います。母とかには言いますよ。家ではめちゃめちゃ「むかつく」とか言いますけど、でもオタクに言うものではないと思います。

――なるほど。そういった部分は“リアリティ”なわけですね。では「寝ていても口に寿司よ入ってこーい」というのは…。

寺嶋:入ってこいって思いますよね。

――思うんですか???

寺嶋:思います。そういう生活がしたいです。

――MVではそれが実写化されていましたが…。

寺嶋:はい。猫が運んできてくれました。でも、寝ながら食べるのは大変でしたけどね、実際やったら大変だったんで、自分で食べた方が楽かなとは思いましたけど(笑)。でも、それぐらいにダラけちゃうというか、めんどくさくなっちゃう時もなくはないですけど、仕事は大事だし、毎日しっかり頑張りますのでよろしくね、っていう気持ちですね。

――そういう意味では、オタクの皆さんの前ではそういった苦悩とかは出さないとは言いつつ、ちょっと出ているわけですよね?

寺嶋:そこが可愛いですよね。この歌詞は。

――ですよね。サウンドを聴いて「一線を越えた」って感じがしたんですが、歌詞の面でも「ちょっと一線を越えてる」っていうところでしょうか?

寺嶋:今までで一番リアルな心情を歌ってる曲かもしれないですね。「天使のテレパシー」「わたしを旅行につれてって」「知らない誰かに抱かれてもいい」辺りは、主人公の女の子がいて、その子がどんなふうにストーリーを紡いでいくか、みたいなのを私が歌っていた感覚だったんですが、今回の曲は“私の曲”って感じがして嬉しいです。

――まさにリアリティがあるわけですね。

寺嶋:リアリティがあるし、それぐらい弱さを見せていることで、聴いてくれた方にも親近感を持ってもらえたら。例えばこれが「私いい女なんで毎日こんなに頑張ってます、どうぞよろしく」ってだけだと、聴いた人が「それは何よりです」って言って終わっちゃうじゃないですか。でも、歌詞に親しめるような弱音が入ってくることで、みんなに共感を抱いてもらえて、みんなが“自分の曲”として聴ける、っていうのがすごくいいんじゃないかと思います。

――なるほど。この1曲で寺嶋さんと、聴いてる方・オタクの方との関係性が一段上がる感じでしょうか?ある意味、寺嶋さんが苦悩を見せ、リスナーの方々がそれを受け取るわけですから、関係が深まったというか…。

寺嶋:もう5年の付き合いですからね。

――ここまで許すようになった、という感じですかね?

寺嶋:そうですね。

実生活でもオフの日は本当に生産性のない生活をしていますね(笑)

――「リアリティがある」とのことですが、これはどうなんでしょうか。「終電逆算 明日も早い」「ちょっと今日だけ帰りたい」。例えばそれは、打ち上げとかがあったりして遅くなったりとか、そんな感じですか?

寺嶋:なんですかね。いい女だからお付き合いはしなきゃいけないけど、とはいえ今日はもう帰って寝たいんだよ、って感じですかね。例えばそれがデートの誘いだったとしても、いい雰囲気になったけどちょっと今日はもう疲れてるから、みたいな。

――ずるずると朝まで付き合っちゃうのではなく、やっぱりちゃんと自分の生活があって、次の仕事をきっちりしなきゃいけない、ちゃんと朝起きてやらなきゃいけない、というのが“いい女”だと。

寺嶋:そうですね。でもどっちがいい女かなぁ…付き合うのがいい女、な時もあるじゃないですか。ちゃんと付き合って、最後まで一緒にいる。デートなのか打ち上げなのか、最後まで付き合って、でも次の日も朝からちゃんと仕事してみたいなのが理想のいい女ですけど、多分それはできないから「今日はちょっと勘弁してよ」って。そう思ってるいい女の“本音”みたいなのが多分そこに垣間見られるんだと思います。

――もしかしたら、普段なら付き合ってるかもしれないけど、さすがに疲れが溜まってきて「今日は…」とか、次の日に大事なプレゼンがあったりするから「今日は…」とか。

寺嶋:そうですね。「今日は勘弁してくれ」みたいな。

――でも、オタクの方は、寺嶋さんのイベントやコンサートに来た後は、必ず飲みますよね?

寺嶋:そうなんです。楽しそうです。

――もしかしたら朝まで行っちゃう人もいたり。

寺嶋:元気ですよね。

――でも、ちゃんと次の日会社に行ったりするんでしょうね。

寺嶋:そうなんですよ。だからオタクもホント“いいオタク”なんです。男の子たちも、趣味に思いっきり時間を使って、体力も使っているけど、でも疲れた夜もちゃんとシャワー浴びて寝て、次の日は出社するわけじゃないですか。そういう意味では、日々頑張ってる人だったら誰にでも当てはまる曲なのかなって。

――“いい女”だけではなくて、“いい男”も共感できるという。

寺嶋:してもらえるといいですね。でも、今のところメンズたちは「すーしー」で頭がいっぱいみたいなんですけど(笑)。

――あの「すーしー」は強いですもんね。あと、これもすごいですよね。「私栄誉賞」って。こんな歌詞なかなか出てこないですよ。

寺嶋:それすごいですよね。

――「栄誉賞」っていうのが絶妙ですよね。本当に優れた人にあげるというより、それなりに頑張って来たからそれなりにあげよう的な感じもあるじゃないですか。表彰の対象や根拠が今ひとつ明確じゃないような感じもあって…。そのニュアンスが絶妙です。

寺嶋:そうですよね。自分で自分を褒めるので、そんな感じになってるんだと思います。自分自身を叱咤激励もしながら日々の生活を頑張るっていう…。誰も甘やかしてくれないんですよ。だって「あなたの前じゃあんまり泣かない」ので。だから、その分、自分で自分を甘やかすというか…。

――みんなの前では平気で、そんな褒めてあげなくても完璧にやり遂げるわけですね。

寺嶋:なので、彼氏の前とかでも平気なんですよ。

――なるほど。それで褒めてくれないけど、やっぱり褒めてほしいという気持ちがどこかにある、と。

寺嶋:ゆえに、メイク落としただけで栄誉賞を与えてるっていう。大変なんですよ。女子ならそこはすごい共感してもらえると思います。でもそれ聴いた女の子たちが夜ツイートするのを見ると、「今日はメイク落として寝たから私栄誉賞だ」って言ってくれてたりとかしてて、すごく生活に馴染む歌詞なのかなって。日常のどこかでふと思い出すようなエピソードが入ってる歌詞だと思います。

――特殊なファンタジーを描くのではなく、生活に寄り添う歌詞ですね。そういう意味では「六畳間パーリナイ」っていう一節にも生活感が漂います。

寺嶋:生活感たっぷりですよ。でも、六畳間にいるのに「地球の沙汰は私の次第」なんです。それがすごい。

――ここ、ちょっと突っ込みたかったんですが、日本文学を学んだ寺嶋さんからすると、この日本語ってちょっと正確じゃないというか、変則的ですよね。

寺嶋:多分ノリ重視です。

――ですよね。音重視って感じですよね。

寺嶋:はい。

――「地獄の沙汰」とはよく言いますけど「地球の沙汰」。そして普通は「私次第」ですけど、代わりに「私の次第」。「事の次第」といった使い方はありますが…。これは「地球の物事のいろいろは私次第」ってことですかね?

寺嶋:もちろん自分がどうこうしたからって地球が変わるわけじゃないんですけど、自分は変われるじゃないですか。自分が変われば、環境の見え方が変わるから、まるで「地球の沙汰」が「私の次第」で変わったような気持ちになれるというか。めそめそして一日過ごしたら、地球中もめそめそ。みんなに分かってもらえなくても、自分がハッピーに生きてれば、みんな仲間みたいな気持ちになれる。そういう自分を激励するためというか、自分が楽しくやるためにスイッチを切り替えることをここで歌ってるのかなって思います。

――そういう意味では、すごくポジティブなマインドにも見えるんですが、ある意味、そう考えないとやっていけないみたいな苦しさも見えてくるような気もします。

寺嶋:そうなんですよ。結構大変なんでしょうね。

――自分にそう言い聞かせるしかない、みたいな。

寺嶋:そうやって奮い立たせて毎日頑張ってるっていう感じなんでしょうね。

――寺嶋さん自身はどうですか? 先ほどは「寝ていても寿司を食べたい」とおっしゃいましたが…。

寺嶋:ダラけたい日もありますよ。でもこの歌の主人公も、大変だって言いつつも仕事を頑張ってる自分のことは結構好きなんだと思うんですよね。私も大変なスケジュールの時の方が楽しいっていうか、生きてる実感を得ているみたいな気持ちになるので、「もう疲れちゃった」って思えるぐらいみっちり頑張って、一旦ダランとするけど、ダラダラしてもいられないからまた頑張るか、って一度気合を入れ直すみたいな。そのサイクルで日々が回ってるので、この一瞬の息抜きがあってこその“いい女”なのかなって思います。

――なるほど。闇雲に頑張るだけではどこかで破綻が来るかもしれないので、ある種の息抜きのようなものが必要だと。ポジティブに進んで行くためには必要なことっていう感じなんでしょうかね。

寺嶋:そんな気がしますね。

――寺嶋さんも“息抜き”やってますか?

寺嶋:実生活でもオフの日は本当に生産性のない生活をしていますね(笑)。最近は整体に行くっていう目的ができたので行ったりしてますけど…。それ以外は、ゆるキャラを見に行くか、でも平日のオフってゆるキャライベントもやってないので、独りでピューロランドに行くか、でも元気がなければ家でずっとツイッターしてるかみたいな…。暗いんですよ。でも、そういう「うへー」みたいな日があるから、次の日もライブ頑張れるみたいなのがありますし、多分この歌詞の主人公の子も、家でそうやって一瞬「ぐでん」ってできるからこそ頑張れる。例えば、これでこの主人公の子が家の中もめちゃめちゃ綺麗で、おうちに帰ったらお花にお水をあげてみたいな、セレブの生活が分からないんですけど、素敵なバスソルトで泡風呂に入ってみたいな…

――天蓋の付いたベットで寝て、とか。

寺嶋:そう。そんな感じの私生活が例えば歌詞に入ってたら、それはもう私にとっては完全にファンタジーなので私の歌じゃなくなっちゃいますけど、普通に日々を頑張ってる人に聴いてもらうには、ちょっと“息抜き感”みたいなものが入っていていいんじゃないかと思います。

――で、「Wow Wow Wow」の部分なんですが、そこまでの歌詞を見ていると、あなたの前じゃ泣かないっていうのは、もしかしたら仕事仲間、上司だったりするのかもしれないですし、彼氏なのかもしれないっていう感があって。いずれにせよ、1対1の関係で、「仕事も頑張るけど、なんとかあなたに対しても期待に応えたい」みたいな葛藤が描かれてるのかと思いきや、いきなり「どっからでも 口説いてこい」と来ます。なんだか様相が変わってきた感があります。どうなんですか?ここは。

寺嶋:どうなんでしょう?あなたっていうのが彼氏なのかはちょっと分からないですが、そこで「口説いてこい」と。「私こんなにいい女なんだから、こんなにいい女で頑張ってるんだから、同じくらいの気概で向かってきて欲しい」っていう意思の表れなのかなって思ってます。ここで結構強気な「超いい女なんだからそれに見合う形で口説いてきなさいよ」っていう。

――なるほど。そんなちょっと混沌とした世界観は、児玉さんならではって感じがします。

寺嶋:そこもハロっぽいですよね。

あの“裏”があるからこそ表に出た時に“いい女”ができるんでしょうね

――で、MVを観ると、さらに具体的な描写がいっぱいあって面白いですね。パンツスーツ姿で帰宅して。

寺嶋:そうなんです。いい女はきっとパンツスーツで仕事をしているという“偏見”です。

――お辞儀のような振り付けもあって、つばきファクトリーの「就活センセーション」を連想させます。

寺嶋:そうなんですよ。

――そこからスウェットに着替えて、猫と戯れて。

寺嶋:いい女は猫を飼っているっていう、また“偏見”です(笑)。

――あと、鍋から直でラーメン食べたりとか、足でティッシュを取ったりとか。

寺嶋:あれ結構難しかったです。

――あれは寺嶋さんの実生活に近いんですか?

寺嶋:あまり実生活に近くはないんですけど…。猫もいないし、鍋でラーメンを食べたこともなかったですし。でも、割とお部屋は散らかってますし、そんなにきっちりしてるタイプではないので、分かるなっていうか。一人だったらそれでもいいよね、みたいな気持ちにはなっちゃうかもしれないですね。

――なるほどね。「いい女をよろしく」とは言いつつ、いい女の“裏側”ばかりが描写されている感があって面白いです。

寺嶋:でも、あの“裏”があるからこそ表に出た時に“いい女”ができるんでしょうね。スーツを着て…スーツのシーンは夜帰宅するシーンと朝出勤するシーンしかないんですけど、朝出勤して帰宅するまでの“外の世界”にいる時はいい女なんですよ。でも、そのいい女を作るための時間がMVで描かれてるというか…。

――逆に言えば、実生活で、会社とかで、いい女に見えたとしても、もしかしたら鍋から直でラーメン啜ってるのかもしれない、って思うと、またある種の魅力が感じられるかもしれないですね。

寺嶋:そうですよね。“ギャップ萌え”じゃないですけど。

――なるほど。そういう歌詞の部分とか、MVみたいな描写とかも含め、寺嶋さんにとって“いい女”とは?

寺嶋:やっぱり2番サビの歌詞が全てですかね。「あなたの前じゃ あんまり泣かない もっと嬉しい話をしよう」っていうことを空元気で言える人、そして実践しようと努力できる人が“いい女”なんじゃないかなって思います。

――それはある意味“アイドル”もそういう存在ですか?

寺嶋:そうですね。アイドルやる上でも“いい女”としてこれが必要だと思っています。やっぱり、みんな楽しいことが欲しくて観に来てるわけじゃないですか。観に来てくれてる人たちが求めてるものだったり、求めている以上のものをちゃんと返してあげられる人でないといけないと思うので、そのためには日々もっと嬉しい話ができる人でいたいなと。

――例えば、それが“いい女”“いいアイドル”の理想像であるとすれば、そうした辛い部分というか楽しくない部分を一切出さない“ファンタジー”を歌うってこともありじゃないですか。でも、この曲でちょっと垣間見せているっていうのは、それも一つの戦略なのでしょうか?

寺嶋:ですかね…?でも、それぐらいの親近感がないとアイドルっていうジャンルは難しいのかもしれないですよね。完全にファンタジーとして出来上がったものをバンって見せることが理想ですけど、でも握手会とかあるじゃないですか。そこってすごく素だし、リアルな物がお互い垣間見えてしまう瞬間なので、いくらステージでバキバキに決めたとしても、やはりそこでふと見えてしまうというか…。握手会の時までツンとしてるわけにいかないので。直接触れ合える場があるのが今のアイドルの楽しさだから、そういうことを考えると完全にファンタジーを貫き通すのはあまり現実味がないと思うんですよね。私も完全にファンタジーを貫きたいわけではなくて、普通に生きている人間だよってことは知っていてもらいたいので。

――なるほど。前回の取材で、個人的な悩みなどをオタクに相談したりはしないとおっしゃっていましたが、かといって、寺嶋さんの実生活が謎に包まれているというわけではないですよね。今のアイドルらしく本音や実生活など随時垣間見せています。

寺嶋:そうですね。そんなに内緒にはしてないと思います。日々どんなふうに過ごしているかとかは、SNSを見てもらえれば一目瞭然なので。私生活を謎にしたいとかは全くないんですが、ただ私生活を出す時も、それを見て「ゆっふぃーが楽しそうなことしてるから真似してみよう」という風に捉えていただけるような出し方が一番いいのかなって思うんですよね。

――おしゃれなカフェに行っておしゃれなスイーツを食べてというばかりではなく、たまには帰りにうどん食べてくみたいなところも…。

寺嶋:そういう親近感ですよね。

――ハロプロの歌詞も結構そういうところがありますよね。「Danceでバコーン!」の「うどん」のくだりもそうだと思いますし、「選挙」のことを歌ってるのもありますよね。

寺嶋:「ザ☆ピ~ス!」ですよね。「投票行って外食する」んですよね。私、大人になって気付いたんですけど、「投票行って」云々っていう歌詞が入っている曲のタイトルが「ザ☆ピ~ス!」なのって、めちゃめちゃ深くないですか?

――あぁ~、ですよね。

寺嶋:「Peace(=平和)」のためには選挙に行かなきゃいけないんですよ。

――なるほど。

寺嶋:改めて、つんく♂さんすごいって思います。

――あまりアイドルが立ち入らない領域というか…。

寺嶋:それまで選挙の歌詞なんてなかったと思います。

――でも、実生活に大きく関わることですもんね。

寺嶋:急に「世界の平和」といった規模の大きいこと言ったかと思いきや、すごく実生活に則したことやミニマムな世界も歌詞の中で共存してるっていうのがハロプロの面白さだと思いますし、そうした部分も今回の「いい女をよろしく」でオマージュしてもらっていると思います。

そういう素敵な人を前にしたら、誰も知らない本当のゆっふぃーが出てくるのかもしれないですね

――で、「Last Cinderella」ですよ。作詞作曲はkiki vivi lilyさん。編曲はケンカイヨシさん。いやぁ、これめっちゃいいですね!

寺嶋:kiki viviちゃん曰く「夜に抜け出しちゃおうっていう歌詞にしたのは、(プロデューサーの)加茂さんからそういう感じにしてくださいって言われたから」とのことです。

――加茂さんすごいですね。

寺嶋:加茂さんは「抜け出しちゃいたかった」んでしょうね。

――すごいなぁ。加茂さん、瑞々しいですね。そういう意味でも、「いい女をよろしく」は日々の苦悩と対峙するいい女をリアルに描いていましたが、この曲はもうひたすら直情的に直感的にって感じですよね。

寺嶋:そうですね。もう完全に。

――それにしても、kiki viviさんの曲って寺嶋さんの唱法にすごく合ってますよね。

寺嶋:やった!

――kiki viviさんはレコーディング・ディレクションもされたとのことですが。

寺嶋:そうです。kiki viviちゃんがスタジオに来てくれて、ディレクションしてくれました。曲はとても難しかったですし、やったことない曲調、歌い方なので、仮歌を聴いても「なんでこんなにお洒落に歌えるんだろう」みたいな感じでした。kiki viviちゃんの仮歌を聴いて練習したんですけど、とてもあんな色気のあるウィスパーが出なくてかなり苦戦しましたが、当日彼女が来てくれて直接教えてくれたので、とても助かりました。

――これは寺嶋由芙史上屈指の名唱ですよ。

寺嶋:ありがとうございます。よかった!

――冒頭のサビ3行とか素晴らしいです。全体的にウィスパーっぽくて、「二人きりで」という部分ではちょっとファルセットに抜いたり、「誰も知らない本当のわたし」「なぜだかあなたに」を3連でタメながら降りてきて、「見せてしまいそうだ」で情感が滲んできます。

寺嶋:「ちょっと後ろノリで歌って」ってディレクションしてもらったので、それを意識しました。でも、難しいですよね、洒落た後ろノリって。私がやるとただのズレた人になってしまうので(笑)。そこは何度もやり直しました。

――「見せてしまいそうだ」っていうのは、どういうお気持ちで歌ったんですか?

寺嶋:「見せちゃおう」じゃないんですよね。「見せてしまいそう」なんですよ。そのギリギリ感というか。見せてもいいのか悩んでいる感じです。「Last Chinderella」は、夜素敵な誰かと抜け出しちゃう曲なんですが、いつも夜遊びしてる子が相手をとっかえひっかえしてて、今日はこの人と抜け出すよ、じゃなくて、いつもはそんなんじゃないんですけど、なんか今日この人とだけなら、みたいな。そんな感じでってレコーディングでもMVでもディレクションしていただいて…。「いつもはこんなじゃないんだけど、今夜だけ」っていう“うぶ”な感じを失わず、セクシーに聴こえて欲しいけどいやらしくはしたくないと思いつつ、いかにkiki viviちゃんの“柔らかい色気”のようなものを出すか、を心掛けながら歌いました。

――沸き立つものがあって、自分も抑えきれなくて、これはもう「見せてしまいそうだ」っていうような感があり…。ちょっと逡巡しながら沸き上がってくるみたいな…。

寺嶋:音と一緒に上がってく感じで。

――制御しきれなくてその勢いに負けてる、みたいな感じが出てます。

寺嶋:嬉しいです!

――「午前0時終電すらもI don’t care」。「いい女をよろしく」では、終電から逆算していたんですが…。

寺嶋:気にしてたのに…。

――時系列的には、仕事のことを考えちゃうような“いい女”になる前なのか、あるいはもしかしたら、“逆算”できる“いい女”になっていたのに、それを超越するような運命的な出会いをしてしまったのか。いろいろ捉え方はできますよね。

寺嶋:いつもだったら気にするんじゃないですかね。いつもだったら「いい女をよろしく」モードのゆっふぃーなんですけど…まあ「ゆっふぃーは」というか、この主人公の女性なんですが…。「Last Cinderella」の夜だけは、いつもだったら気にする終電も気にならないぐらいに「I don’t care」なんですよ、きっと。

――世間のことがいろいろと分かって、立ち回り方も心得る前、まだ未熟であるゆえに直情的になってしまった、とも考えられますが、もしかしたら、いろいろと心得ているのについそうなってしまった、という方が劇的ですよね。理性をも打ち破る感情が出てきてしまった、と。

寺嶋:それぐらい素敵な人と出会ってしまったっていう…。おめでとうございます、本当に!(笑)

――「下の名前すら知らないけど」っていうのは…。

寺嶋:それもすごいですよね。

――ちょっと「知らない誰かに抱かれてもいい」風なマインドですよね。

寺嶋:でも、あれはやけっぱちでしたけど、今回は下の名前は知らないけどもう目と目が合った瞬間にこの人って決まったっていう感じで…。あの時のやけっぱちとは違いますね。

――なるほど。ということはその場で会った感じなんですかね?

寺嶋:そうです。きっとそういう感じ。

――何となく知っていた人にここでピンと来たというより、もうこの場で出会ったと。

寺嶋:そう、もう運命の出会いですよ。

――なるほど。「目と目が合った瞬間」ですもんね。この後の「そう」の法悦感がすごいですよ。ここはどんなフィーリングで歌っているんですか?

寺嶋:目と目が合って、今から気持ちが高まるよっていう。その後の「溶けていくの」は溶けていくような感じで歌いたいので、溶ける前の最高潮みたいな感じが伝わるといいかなって。

――あと、「誰も知らない本当のわたし」っていう一節がありますが、“誰も知らない寺嶋由芙”ってあるんですかね。

寺嶋:あるんですかね~。あんまりない気がしていて…。これ歌ってる時も思ったんですけど、そういう素敵な人を前にしたら誰も知らない本当のゆっふぃーが出てくるのかもしれないですね。

――まだ自分でも見つけてないんでしょうね。

寺嶋:まだ見つけてないんだと思います。オタクの前では見つからないかもしれないですね。残念なことに…。

――ちょっと厳しめな発言ですね(笑)。

寺嶋:今のところオタクじゃ駄目みたいで(笑)。

――「あしたのSHOWもすっぽかしてさ」っていう部分では“アイドル寺嶋由芙”とシンクロするかのようです。

寺嶋:そうですよね。ここで「アイドルだったの?」って。アイドルなのか、もしかしたらダンサーとかなのかもしれないですけど。

――芸能とかエンターテイメントの人なんでしょうね。

寺嶋:エンターテイメントの人で、普段はみんなの前でみんなのためにやっている人が、今夜はあなただけのために、いつも観てくれているお客さんには見せていない誰も知らない本当のわたしを……いやはや、そういう歌です(笑)。

――この一行があることで、「普段はたくさんの人を相手にしてるけど、今この時はこの人だけに」という意味合いが出てきて、より劇的に官能的になりますね。

寺嶋:そうなんです。すごいいい歌詞。最後にそれが来るのがすごいドキっとします。

(取材・文:石川真男)

寺嶋由芙 商品情報

2019/4/17 発売「いい女をよろしく」
2019 年、“いい女” ゆっふぃーが届けるのは、90 年代正統派アイドルソング!

■初回限定盤(CD+DVD)
TECI-668/定価 1,667円+税

1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella 3.いい女をよろしくーOff Vocal ー 2.Last Cinderella ーOff Vocal ー DVD :「いい女をよろしく」MV & MVメイキング

■通常盤
TECI-637 /定価 1,111円+税
1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella

寺嶋由芙 ライブ情報

寺嶋由芙ワンマンライブ「ゆっふぃーらんらんコンサート」
http://yufuterashima.com/topics/2019-07-07-live/

▼開催 
7/7(日)
開場 15:00
開演 16:00

▼会場 
日テレらんらんホール 
〒206-0812 東京都稲城市矢野口4015-1 
http://www.yomiuriland.com/lanlan-hall/access.html

寺嶋由芙 プロフィール

「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル。」
千葉県出身。早稲田大学文学部 日本語日本文学コース専攻を卒業。中学校教諭ならびに高等学校教諭一種免許状[国語]取得。
大好きな「アイドル」そして「ゆるキャラ」を繋ぐ「ゆるドル」として、「ゆるキャラ®グランプリ」をはじめ、各種キャラクターイベントにMCやゆるキャラ通訳としても出演中。


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